認知症ブログ H28.7.25 (内容限定版49)

前頭側頭葉変性症(FTLD)1
くも膜下出血後ピック ーFTD-FLD typeがおきたのは初めて
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診察室に入ってきたときは、猛烈な子供歩きで、くも膜下出血のあとの歩き方とは違うと思った。にこにこ笑いっぱなしで、改訂長谷川式スケールは24.5。なれなれしく医師を触り、しまいにはキスをしようとした。私の腕をつねった。日ごろから相手をつねるのだそうだ。奥さんが、先生危ないから距離を置いてくださいと言ってきた。

CTでは右前頭葉にSAH直後の血管攣縮による脳梗塞があり、健側である左前頭葉は眼窩面萎縮もあり前頭側頭葉変性症(FTLD)で間違いない。しかし側頭葉はしっかり保存されていてFTD-FLD typeだったのである。

対策はウインタミン6mg×3、効いていいないので前医の抑肝散3包はすべて中止させた(低Kのリスクを考えて)。フェルガード100M2本を推奨した。

フェルガード1
くも膜下出血既往のアルツハイマー型認知症。フェルガードで一発改善
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32年前にくも膜下出血をおこして2か月間入院した。脊椎は圧迫骨折があり、3年前に脊柱管狭窄の手術をしている。法事で疲れ、息子に妄想内容を電話したこともある。もう88歳。

食欲がなく気力がないようだった。前医は元気にさせようとしてシンメトレル100mgを朝と夕に飲ませていた。これはよくない。食欲がない時はシンメトレルが悪さをしていることがあるし、夜飲ませてはいけない。そこで50mgを朝、夕にした。(昼のめないので)

この高齢で、頭部打撲のあとには右手に振戦が出たというのでリントンも使いたくない。抑肝散2包でお茶を濁して、あとはフェルガードに託した。NewフェルガードLA2本である。

60日後に、すたすたと自分から診察室に入室してきて、よくなりましたとはきは効答えた。体重も5.8kgアップ。急激によくなったということであろう。振戦もおきなくなったという。

彼はSAH後ピックにはならず、彼によってアルツハイマー型認知症になっただけのようだ。副作用が容易におきそうな患者さんはフェルガードがベストである。

KONO method international 1
神経質な方のめまいに香蘇散(こうそさん)
コウノメソッドに耳鳴りセットが2種あるが、全員がよくわるわけではない。いま試しているのが、めまいに対する香蘇散である。

めまいは、内耳、椎骨動脈、自律神経の3種をイメージして治療しているのだが、やはり神経質な人がなりやすいと感じている。とくにめまいと耳鳴りがセットで起きる人はそうだ。突発性難聴、メニエルの方もその傾向があるのではないかと思う(精神的ストレスに弱い)

そこで、80歳女性、改訂長谷川式スケール15のアルツハイマー型認知症(右半球にラクナ梗塞)が6月23日にめまいがおきてふらつく、耳鳴りもあるということで、チアプリド、プレタールをいったん中止、ドネペジル2.5mg×2も1.67mgに減らして、コタロー香蘇散2g×3を開始。

3週間後、めまいもふらつきもなくなっていた。香蘇散を継続するか聞いたら継続したいということだった。香蘇散が効いたかもしれない方は、まだこの1例であるので調査を続けたい(9576)。

前頭側頭葉変性症(FTLD)2
FTLD+NPH。ドネペジル5mgで1日中独語。10mgに増やすといわれて逃げてきた。
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関東から78歳女性が娘さんと来院した。とくにピック感はなかったが、地元でアルツハイマー型認知症の診断のもとドネペジルが開始され、5mgになると1日中ぶつぶつ言うようになった。ピック症状にスイッチを入れられたのである。

CTを見ると正常圧水頭症の影響で前頭葉萎縮が限局しているように見える。地元の医師は前頭葉と側頭葉の萎縮が強いのだけれども、と娘に説明していた。それを娘がずっと気にしていて、いろいろ勉強した結果、アルツハイマーではないと感じた。

医師は効かなければ次回から10mgにすると言いだしたので怖くなって新幹線で名古屋まで来たというわけである。このような家族の機転がないと患者を副作用から守れない。医師は助けてくれないのである。藪医者には行けば行くほど悪化する。

私が正常圧水頭症の症状はないのか確認すると、すこしすり足になりつつあるとのこと。ドネペジルはこういったNPHの歩行障害にもじわじわと悪影響を及ぼす。地元の実践医に移るように説明した。処方はドネペジルを2.5mgにすること、ウインタミン4mg×2、フェルガード100M3本推奨とした。

LPC症候群1
MSAにグルタチオン3400mgでは足りないのか
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私はエビデンス医療は幼稚、高度な医療は個別化医療に限ると考えている。エビデンス医療は、患者の身体と対話しない医者のためにマニュアル化されたようなもの。用法用量は患者個々に違って当然である。自分で作ったコウノメソッドも新たな患者の出現によってどんどん壊していかなければならない。

コウノカクテルは、PSPと小脳失調に効きやすく、CBDに効きにくい。これは全体的な傾向である。53歳の男性が車いすで来院した。発病3年目のMSAで難病適応になっている。構音障害、排尿障害が揃っていて画像的にも脳幹・小脳の萎縮が明らかである。

無理に歩いてもらうと、マリオネットのように足がふらふらで横に倒れる。片手介助でも不安そうで、すぐに壁に手をつきたがる。タルチレン(セレジスト)はまったく効かないという。

この歩きを見て、グルタチオン2000mg代では反応しないと感じ、3400mg、シチコリン250mg、ビタミンC1000mgを20分で点滴した。改善はしたがまだまだだった。MSAにシチコリンの隠し味は重要ということもわかってきた。

実践医に紹介したが、グルタチオン5000mgで改善する患者もいるのだろうかと思うようになった。看護師も25アンプルを切るのは大変だし、無料点滴なので(CTを自費にはできないので)まったく経営的には不利であるが、なかなか実践医から新たな発見がもたらされないので、自分でトンネルを掘削してゆくしかない。

LPC症候群2
CBD疑いにコウノカクテル奏功せず
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先回、若いCBD疑いの方が、グルタチオン3400mg、シチコリン250mg、ソルコセリル4ml、ビタミンC2000mgで著効だったため、今回のCBD疑いの方にもまったく同じ量で試したが、奏功しなかった。

66歳男性。うつ病の既往がある。3年前にマイクロバスの運転中壁にぶつけたので運転はやめたという。どの道をゆけばいいのかという段取りがつけられなくなった。

寝てばかり、ころぶ、むせる、夜間無呼吸あり。鉛管様筋固縮がみられ、関節に違和感があるという。左手の動きがおそく、なんとかひもは結べたが左手が不器用である。昨日エスカレータを降りるときに、後方に転倒し、遠近感がわからなかったという。現在、しゃべりにくい。改訂長谷川式スケールは28だった。

CTでは側頭葉が保存されて、前頭葉と頭頂葉が萎縮していたので、ふつうにCBDだと思うのだが現在大学病院が検査を繰りかえして診断できないでいるという。点滴の後、握力は左が32→28.5kg、右が34.5→38kgという奇異反応を示した。残念ながらCBDを疑う患者への50%以上治せる方法が、まだ見つからない。

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ドクターコウノ2016年講演 ビッグサイトでお会いしましょう!
●7月27日(水)12:40-14:40 「高齢者住宅フェア」 東京ビッグサイト東1ホールG会場 後援:厚生労働省・国土交通省 入場・セミナー聴講無料、先着順 コウノメソッド 認知症の新しい治療の概念(2時間)新橋からゆりかもめで国際展示場正門駅下車、徒歩3分。大井町からりんかい線で国際展示場駅下車、徒歩7分。

●8月21日(日)社団法人抗認知症薬の適量処方を実現する会 第二回特別セミナー 進行性疾患のせいにされ続けた認知症医療でのくすりの副作用(60分)
450名(事前申込制・先着順)申込サイトはhttp://www.ninchi119.com/seminar/index.html
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●8月28日(日)午後2:30-4:30 豊川社会福祉会館(ウィズ豊川)2階研修室
申し込み方法などのお知らせは、まだ来ていません。

●9月4日(日)点滴療法研究会設立10周辺特別セミナー(90分 ベルサーレ三田、東京)認知症治療とアンチエイジングの融合ーコウノメソッド-
会場は品川駅からタクシーで5分。9:10-15:50 ランチョンセミナーあり。懇親会16:00-17:00(私も出席します)。演者5人で私は2番目の10:30-12:00。カナダで上演した動画をお見せします。参加費は、マスターズクラブ会員が3万円、一般6万円、同伴スタッフ(コメデイカル限定)1.5万円となっています。料金振込みの締め切りが9月2日(金)正午。お問い合わせは、点滴療法研究会事務局(品川区)電話 03-6277-3318

●9月25日(日)日本ホスピス・在宅ケア研究会主催 黒田裕子記念神戸フォーラム 神戸コンベンションセンター国際会議場大ホール(700名)14:00-16:30 コウノメソッドで認知症の人も地域で暮らせる。上記研究会のHPから申し込み。
会員3000年 非会員4000円(25日のみ参加なら-1000円)。24日(土)17時以降の懇親会(5000円)に私も参加します。問い合わせ:事務局(梅垣) 電話078-335-8668  kobe@hospice.jp


●11月5日(土)夜7:30-9時 徳島県臨床内科医会講演会(徳島県医師会館)
東洋医学的発想・アンチエイジングで認知症を改善させるーコウノメソッド解説ー
問い合わせ:ツムラ 書籍・DVD販売あり。
●11月6日(日)朝10時―正午 徳島一般講演 徳島駅から徒歩10分「とくぎんトモニプラザ(300席)」認知症介護のコツーくすりの効用と副作用―

●11月30日(水)18:30-19:30 長久手南クリニック認知症勉強会
認知症患者の前頭葉機能を考える

ドクターコウノ2017年講演 
●2月26日(日)第三回認知症治療研究会(パシフィコ横浜)
●6月3日(土)19-21時 第4回認知症サポート医等連携の会(千葉県医師会館3階会議室)
●6月4日(日)朝10時 千葉市一般講演

認知症治療研究会1
第三回研究会から公募演題(3人枠、1人10分)募集中
平成29年2月26日(日)にパシフィコ横浜で第三回認知症治療研究会が行われる。第三回研究会から公募演題募集。応募資格は会員限定、職種を問わない。選ばれた3名は1人10分が与えられる。発表内容は、治療、予防、介護、基礎、診断など特に制限はない。
●発表内容を1000字程度にまとめて事務局にメールする。
●締め切りは平成28年9月14日(水)。応募多数の場合は世話人で選考する。
●発表内容は、研究会誌に掲載される。(掲載誌は国会図書館に寄贈される)
●マスメデイアが多く集まる研究会なので、世間に発信したいことをぜひエントリー願いたい。

フェルラ酸研究会1 8月20日(土)情報交換会でお会いしましょう
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実践医通信 和歌山の小野道夫先生が神奈川に異動
この8月2日(火曜日)より、鎌倉市の額田記念病院にて「こもれび外来」(コウノメソッドによる物忘れ外来」をスタートいたします。外来日は、火曜日の午後と、金曜日の午前です。
医療法人財団 額田記念会 額田記念病院 こもれび外来(コウノメソッドによる物忘れ外来) 担当医師:小野道夫
〒248−0007 鎌倉市大町4−6−6電話:0467-25-1231

今週の一言
1) ガラケーGoというのはないのか!
2) 図書館にポケモンがいっぱいいたって? ていうか、勉強せ~い!
3) NHK電話調査「なぜクリントン氏に?」「あのおじさんよりよさそうだから」
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