認知症ブログ H28.9.5(内容限定版55)

LPC症候群1
ALSとの遺伝子上の関連を疑わせるCBDの1例
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女性。1年前から急激に認知症が進行して危なくて包丁も持たせられなくなった。ご主人に連れられてやってきたのだが、方向転換するときだけふらつく。しかしタンデムゲイトはできるし、F-Nテストで軌道修正したりしない。画像的にも小脳、脳幹の萎縮はない。

とにかくまったくしゃべらない異様さが目立ち、眼球が中央に固定し感情がないかのようだった。前医は2施設でMRIを行い、パーキンソンと言った医師はメネシット100mg朝を処方していた。もう1人は更年期障害と診断したという。確かに歯車現象は明確だった。足が出にくいとか振戦があるということはなくハミングバードも陰性。PSPとは思えない。

ただし、彼女の妙なところは、目を動かしてと教示しても動かせないという症状があった。私の教示の意味がわからないというより、脳が眼球を動かせという指令を出さないかのようだった。ご主人が言うには箸の使い方がわからなくなっている、自分からはしゃべらなくなったという。復唱をさせると声はだすが不得意な言葉は復唱できない。つまりPNFA-CBDである。

CTで確認すると、やはり前頭葉と頭頂葉が萎縮している。側頭葉は保存されているので、FTDP-17でないかぎり彼女はCBDに間違いないと思えた。残念ながらコウノカクテルも変化をもたらさず、よけいCBDの色彩が濃い。

対策は、メネシット100mgをドパコール50mg+50mgにすること、リバスタッチ2.25mg開始、NewフェルガードLA粒タイプ1-1-1とした。もし点滴があとで効いて来たら、10日ごとに来ていただく。

父親がALSで亡くなっているので、もしやFTD-MND typeかと身構えたが全く違っていた。ALSとCBDに遺伝子異常の共通点があるなら知りたい。ただ、私はマンチェスターのFTLD分類を破壊して、前頭葉変性群の前頭頭頂葉萎縮に、CBDとFTD-MNDをもってきた。そのが概念図は発見なので1日だけ公開してその後は非公開とした。いまではコウノメソッド医療者だけがNON ONLINE NEWSでそれを確認できる。その一致が不気味である。

Fujiokaらは、CBDを発端者とする家系に1例ALSを見出しているので紹介する。

A familial form of parkinsonism, dementia, and motor neuron disease: a longitudinal study Fujioka S et al. Parkinsonism Relat Disord. 2014; 20: 1129-1134.
抄録・解説 齋藤豊和 

CBDは、PSPや嗜銀性顆粒病、Pick病などと同じく、Tauタンパクが脳内に沈着するタウオパチーの一種。本研究では、剖検でCBDと確認された患者を発端者とする進行性神経変性疾患の大家系を対象として、発症者の臨床像、PET所見、病理所見、および遺伝的所見の検討を試みた。(方法)病理所見については発端者であるCBD患者の剖検脳を調べた。

さらに、発端者の末梢白血球からDNAを抽出し、Tau遺伝子MAPT、認知症関連遺伝子PGRN、パーキンソン病関連遺伝子LRRK2の全エクソンを解析したほか、FTDとALSの関連遺伝子C9ORF72のリピート配列異常伸長をスクリーニングし、他のFTDおよびALSに関連する遺伝子についてもスクリーニングした。

(結果)CBD患者の家系5代64例のうち、CBD発端者を含む8例に神経変性疾患が認められた。CBD発端者は64歳時に進行性の構音障害や言語障害を発症。5年後に死亡。神経病理学的検査の結果はCBDに合致、大脳皮質および皮質下にアストロサイトプラーク(アストロサイトの末梢突起におけるTauの蓄積)。

他の神経変性疾患発症例
も7例すべて進行性であり、2例が行動変容を伴うPD、2例がPD単独、1例がALS、1例が認知症、1例が進行性の歩行障害および構音障害。この他3例にわずかな神経学的徴候が認められた。ただし、この3例に本人の訴えはなく、いずれの神経変性疾患診断分類にも該当せず、PET検査によっても特に異常なし。

CBD発端者のDNA解析の結果、MAPT、PGRN、LRRK2、C9ORF72を含む既知の神経変性疾患関連遺伝子に変異は認められなかった。(考察)以上のようなPD、認知症、および運動ニューロン疾患の複雑な表現型を示す神経変性疾患の家系はまれであり、既知の遺伝子変異をもたない新規の家系が明らかになった。(コメント)CBDの確定診断は病理解剖に依存する。CBDの疾患概念は臨床像に関連する病変分布を有するもの(CBD)から、病理学的にTauタンパク陽性病変の形態を呈する疾患(CBD症候群)に広がりを見せている。

ただしCBDにみられるTauタンパク沈着は神経原線維変化やPick病とは形態的、生化学的に異なり(CBD-tau細胞病理)、CBDは広汎な臨床、病理学的な問題を抱え、PSPなど他の神経疾患と多くの点で共通、類似の症状や病態を呈する。CBDで常に鑑別診断に挙がるPSP、Pick病では家族性発症はまれであり、PSPではTau遺伝子変異をもつFTDP-17家系でPSPに類似する表現型を示す例の報告やTau遺伝子に連鎖せず、連鎖解析で第1番染色体に遺伝子座が見い出された常染色体優性遺伝性PSPの大家系がある。

CBDでは遺伝性家系の報告はないと思われる
が、本報告のような家族性CBDと考えられる少数例の報告はあり、家族性Tauタンパク陽性の家族にCBD、PSP等がみられる報告がある 。

臨床像に加え、病理学的、生化学的、分子遺伝子学的な検索が進み、今まで孤発性の多系統萎縮症(MSA)の域を出なかったMSAに多系統多発家系が見い出され 、常染色体劣性遺伝性が想定され、COQ2遺伝子がこの家系の一部で病因遺伝子と結論し、日本、欧州、北米の758例サンプルの解析で有意な関連性が明らかとなった 。

今後遺伝子解析により孤発性のCBDでも病因遺伝子が見つかり、また本報告のように家族内で認知症、運動ニューロン病の存在まで明らかになってくる可能性がある。

小児精神医学1
多動症に小児用ピックセットが劇的奏功
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1年1か月前に5歳児が初診した。私が診ていた認知症の方の曾孫さんである。ひらがなやかたかな の暗記は早く、図鑑は全部覚えているという天才である。ピック病に似ているなと感じたのは、発表会で人が多いと走り回る(被影響性の亢進)、立ち去り行動、暴力である。

フェルガード100M半分2回、5歳にウインタミンを飲ませるわけにはいかないので代替品として思いついたのが苦くない漢方、ツムラ甘麦大棗湯(半分×2)だった。抑肝散の代替でもある。それを半分×2とした。

5月に暴力がでているということなので、漢方を1回1包に増やすように祖母に指示したのだが、すぐには増やさなかったようである。8月30日に再来し、場所をわきまえずに暴れる、叩く、しまいには医師まで蹴ったところで、ようやく指示通り増量。その結果1週間後にはずいぶんおちついたという。私もナースも彼の変わりように驚いた。

相手の目から視線を離さずに穏やかに謙虚に会話する。最後にはお礼まで言ってかえっていった。ものすごく才能があるので高機能アスペルガーのニュアンスもあり、芸術面などで才能を伸ばせば、大物になるだろうと家族に説明しておいた。幼少時を多動症かアスペルガー症候群かの鑑別を無理にする必要はないと思っている。幼少時の場合はとりあえず多動症と診断したい。

混合型変性疾患1
アルツハイマー型認知症+パーキンソン病は本当にいた(1)
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70歳から77歳まで7年間通院している男性で問題行動はなく、いわゆる単純認知症型のアルツハイマー型認知症と考えていた。初診時の改訂長谷川式スケールは16で、遅延再生は3/6。
CTで海馬萎縮は少ないが、ピックやレビーの症状は一度も出なかった。

この若さでSD-NFTとも考えにくく、最近はドネペジル8mg、メマリー10mgを処方していた。9月に入って彼は、質問すると激しく右手を震え始めた。歯車現象もありパーキンソン病そのものだった。レビー小体型認知症とは考えにくく、ドネペジルを5mgに落として、しかも危険分散で2.5mg×2とし、ドパコールチャレンジを始めた。

よく病理学者がレビー小体型認知症のことをアルツハイマー型認知症+パーキンソン病の組織蔵と表現することがあるが、それは違うだろうと思っていた。2疾患が別々に発病することはないだろうと思っていた。しかし彼は、7年間純粋な認知症で、現在は片側性振戦―つまり薬剤性パーキンソニズムではなくパーキンソン病が出てきている。

10年間パーキンソン病で認知症が加わるならPDDであってDLBとはかなり違う。DLBで片側優位な振戦というのは出ない。PSP-Pでもこういうことはないと思う。7年間認知症だけ先行する変性疾患というのは思いつかない。ましてやピック病やアルツハイマーの二次性パーキンソニズムではない。

同じ患者が7年通院してくれたおかげで、やはりそういう人はいるのだと教えられた。しかも同じ日にもう一症例初診してきたのである。次に紹介する。

混合型変性疾患2
アルツハイマー型認知症+パーキンソン病は本当にいた(2)
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入室してきた瞬間にパーキンソン病とわかった。激しい振戦でアームスイングはまったくない。しかも左手優位で典型的なpill rolling tremorである。もはやレビーとかPSPという話ではない。声も小さい。

ところが改訂長谷川式スケールは4点しかとれず、アプロウズサインは陽性。つまり前頭葉機能は低下している。お肉を食べてくださいね、と言うと「嫌です!」と強硬に言ってくる。この強情さや記憶低下はPDDではないだろうと思う。CTではアルツハイマー型認知症の合併と考えられた。

その証拠にアリセプト5mgで振戦がひどくなり、3mgに落としたら頭がすっきりして調子がよいという。医師は3mgでは少ないからメマリーを併用しようとしたところ、記憶はひどく悪化したという。パーキン系なのでメマリーは冒険だった。アーテンが出されたときもおかしくなったという。アリセプトはまさに、アルツハイマーの存在を知らせるリトマス紙である。

ネオドパストン100mg錠を半錠3回処方するなど、かなりレベルの高い処方がされていた。しかし治したくて来院されたのだからやはり、アリセプトはリバスタッチに変え、無料点滴(グルタチオン3000mg、ビタミンC1000mg)を20分行うと、本人は楽になったと言った。今後はグルタチオン前駆物質サプリを服用してもらい、地元の実践医で点滴をしてもらうことにした。

左手が不器用になったというので、ひも結びをしてもらったが、弱い筋力ながら可能だった。構音障害などのCBDとの証拠はなく、アルツハイマー型認知症+パーキンソン病ととらえている。CBDの萎縮パターンは、前頭頭頂葉だが、彼女は頭頂葉だけ萎縮しているのである。

ちなみにレビースコア8.5、ピックスコア5.5だった。LPC症候群ということになるが、アルツハイマー型認知症+パーキンソン病の経験は少ないため、この解釈が難しい。

前頭側頭葉変性症(FTLD)1
アパシー系なら興奮系でもよい
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改訂長谷川式スケールは17で遅延再生は6/6でアルツハイマー型の可能性は薄かった。肘にはファーストリジッド(最初の屈曲のときだけ抵抗があること)のみで明確なパーキンソニズムもなく幻視、妄想はなかった。

前頭葉表面は脳回が消失し、側脳室のCMIは24.9%とスリムすぎるので両側硬膜下水腫と思われた。海馬萎縮は0.5と穏やかでレビー小体型くらいの萎縮である。ピック症状はないため、病理基盤はアルツハイマー型なのかもしれず、一番大事なことは彼女が必要としているのは興奮系だということだった。

絶対に前頭側頭葉変性症(FTLD)というわけでもないが、ドネペジルから試すことにした。レミニールで食欲が落ちるのも怖かった。ドネペジル1.5mg、ニセルゴリン2錠。念のため5日間のみペロリック10mgを併用とした。

1か月後、自分で内服するようになり、食欲も出てきて、アパシーも解除されていた。ドネペジルは2.5mgに増量した。(効いたら増やさないのが原則であるが、あまりにも少ないので1段階だけ増やすことにした)。フェルガードは服用していない。成功した理由は、ドネペジル少量と脳血管拡張をさせたことだと考えられる。いきなり3mgだと大失敗していたであろう。

前頭側頭葉変性症(FTLD)2
ぜったいにピック!だと思ったらCT所見はアルツハイマー型認知症
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コウノメソッドでは、たとえ病理基盤がアルツハイマー型認知症と思われても症状がピック病ならピック病だと積極的に誤診したほうがよいという考え方をする。しかし、これだけ典型的なたらこの側脳室、後方型萎縮を見せつけられると、病理基盤はアルツハイマーを推定せざるを出ない。これこそアルツハイマーのフロンタルバリアントなのだろうと思った。もちろんドネペジルは禁忌だし、前医が処方していたレミニール12mg×2はすぐさま全廃させた。火を噴くような怒り方だった。

整形外科1
「スキー軍団」は、90%股関節が悪い
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杖を両手に使っている高齢者の場合、9割以上の確率で杖を使う理由が股関節のトラブルによるものである。それは、スキー軍団の方々全員に聞いたからわかった。おひとり、多系統萎縮症で2本杖の方がいたがそれは例外的である。変性疾患の歩行障害では2本杖でもバランス上危ない。

開業医は多くの患者さんを診察しなればならないので、スキー軍団が入室してきた瞬間に「股関節が悪いのですか」と聞いて「そうです」と即答してもらったほうが時間の短縮になる。

LPC症候群1
スキー軍団でCBSの疑い
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彼女もスキー軍団の1人。股関節が悪いのだという。その話とはまったく別であるが彼女は皮質基底核症候群ではないかと思われた。もし歩行に障害が出てきても股関節が悪いので評価が難しくなるだろうと感じた。

KONO cocktail1
NACは人類を救うのか?
名古屋フォレストクリニックではNACの販売を始めた。もともと抗酸化物質の前駆体であり、胃酸で不活化されずBBBを通過するもようである。先日の某研究会で神経内科医が推奨していたので卸した。価格的にもリーズナブルで点滴療法に通院するのが苦痛な方は試してみるとよいであろう。もちろん私も内服している。


耳鼻咽喉科1
小林製薬「ナリピタン」は耳鳴りに効くのか?
85歳男性で8年以上通院しているアルツハイマー型認知症の方である。耳鳴りに対して、カルナクリン、五苓散を処方しているが、市販薬のほうが効くというので、商品名を聞いてみた。

本当に効いているのか判然としないが、90錠で2000円。その有効成分は、ニコチン酸アミド、パパベリン、ビタミンBである。前二者が血行改善、ビタミンB群は加齢によって衰えた神経の調子を整えると書かれてある。副作用として、再生不良性貧血、無顆粒球症が稀にありうるとのことである。ナリピタンがよく効くのなら、コウノメソッドに記載したい意向だが情報を待ちたい。名古屋フォレストクリニック FAX 052-624-4005

NHKためしてガッテンの説明によると、耳鳴りは加齢によって必発の宿命だという。つまり聴力が衰えるためセンサーを過敏にするため余計な音まで聞こえるようになるのだという。それを治すには聴力を上げるのが一番。ただ、補聴器は高額なだけで効いたという話をあまり聞かない。受話器式を持っていた患者を2人知っているが、これは有効のようだった。

アンチエイジングで治るものなら、Nアセチルシステイン(アメリカのサプリメントでグルタチオンの前駆物質)が奏功するのではないかと思うがいかがであろうか。グルタチオン点滴後に全盲の患者が光を感じると言ったことはある。

逆に聴覚過敏と言う病態がある。8歳以下の多動症で、耳栓とかヘッドフォンを付けていた子供さんを3人知っている。これは、やはり甘麦大棗湯で神経を鈍らせるということになるであろうか。


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ドクターコウノ2016年講演 
●9月25日(日)日本ホスピス・在宅ケア研究会主催 黒田裕子記念神戸フォーラム 神戸コンベンションセンター国際会議場大ホール(700名)14:00-16:30 コウノメソッドで認知症の人も地域で暮らせる。上記研究会のHPから申し込み。DVD2本お見せします。どんなことがあってもお越しください。人生観が変わる1日に乾杯!
会員3000年 非会員4000円(25日のみ参加なら-1000円)。24日(土)17時以降の懇親会(5000円)に私も参加します。問い合わせ:事務局(梅垣) 電話078-335-8668 
kobe@hospice.jp

●11月5日(土)夜7:30-9時 徳島県臨床内科医会講演会(徳島県医師会館)
東洋医学的発想・アンチエイジングで認知症を改善させるーコウノメソッド解説ー
問い合わせ:ツムラ 書籍・DVD販売あり。高橋会長の意向で内科医以外にも広くお誘いしています。
●11月6日(日)朝10時―正午 徳島一般講演 徳島駅から徒歩10分「とくぎんトモニプラザ(300席)」認知症介護のコツーくすりの効用と副作用―
●11月30日(水)18:30-19:30 長久手南クリニック認知症勉強会
認知症患者の前頭葉機能を考える

ドクターコウノ2017年講演 
●2月26日(日)第三回認知症治療研究会(パシフィコ横浜)
●3月19日(日)NPO法人 くすり・たべもの・からだの協議会 静岡市 午後2:30から90分(理事長 山田静雄 静岡県立大学大学院薬学研究院)対象:一般市民、薬剤師など
●6月3日(土)19-21時 第4回認知症サポート医等連携の会(千葉県医師会館3階会議室)
●8月20日(日)正午 社団法人抗認知症薬の適量処方を実現する会 第三回特別セミナー 品川 演者:長尾、河野、平川

認知症治療研究会1
第三回研究会から公募演題(3人枠、1人10分)募集中
平成29年2月26日(日)にパシフィコ横浜で第三回認知症治療研究会が行われる。第三回研究会から公募演題募集。応募資格は会員限定、職種を問わない。選ばれた3名は1人10分が与えられる。発表内容は、治療、予防、介護、基礎、診断など特に制限はない。
●発表内容を1000字程度にまとめて事務局にメールする。
●締め切りは平成28年9月14日(水)。応募多数の場合は世話人で選考する。
●発表内容は、研究会誌に掲載される。(掲載誌は国会図書館に寄贈される)
●マスメデイアが多く集まる研究会なので、世間に発信したいことをぜひエントリー願いたい。

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介護保険1
介護保険料 負担対象がすべての働くに人に拡大か
8月31日のニュースで、10年後には介護保険にかかる費用が2倍になるため、いまの保険料徴収対象を40歳以上から、すべての労働者に拡大したいとの厚労省の考えがあることが報道された。つまり中卒で働いている10代の若者すら徴収されることになる。将来の自分に払われる年金の保証もないのに、気の毒なことである。

私は、お年寄りの介護に使う費用は、お年寄りへの医療費を節約した分から回すのが妥当と考える。削減しても患者の幸福にほとんど影響がでないものと言えば、認知症の病型鑑別に使う脳血流シンチ、DAT scanである。保険適応を直ちに停止し、検査希望者から半額徴取するというのはいかがであろうか。こういう無駄な検査をやめればすぐに介護費用がでるのではないだろうか。

小野薬品の肺がんの治療薬が、1人年間3500万円かかることが問題視されていたが、ほかの癌への適応拡大で使用者が急増することを見越して、わずか4か月で薬価見直しがされたのは、すばらしい英断であった。というか最初の薬価自体が愚かなのだが。

レビー小体型認知症への適応取得でせっかく半額の医療費に落ちていたドネペジルが、高額なアリセプトしか処方できないという異常な規則は、無駄な医療費高騰の象徴であり、直ちに解除してほしい。エーザイはすでにアリセプトで十分な体力を得ており、レビー小体型への治験でかかった費用は、すでに回収済みと判断してよかろう。

またパーキンソン病治療薬のトレリーフ(1084円)も事実上の薬価(エクセグランで同じmgなら9円)でよいはず。このように製薬会社に流れる詐欺的な薬価を介護保険に回せば、10代の青年から金をとる必要はない。製薬会社と人事の流れで癒着している厚労省の判断が正しいはずはなく、財務省にも判断させたらどうか。

認知症の事典。4刷りが決定。累計で2万4060部。